あたしの前だけ俺様王子☆
女が振り向くと同時に、俺は再び大きなあくびをした。
・・・やべぇ、すげー眠ぃ・・・
さっきからあくびとまんねぇんだけど。
この女がどうのこうのより、
とりあえず寝たくてしょうがない。
・・・そのためには
こいつの向こう側にある屋上へ行かなければ。
あそここそ、俺の一番落ち着く場所だから。
よし、ならはやく屋上へ行かなきゃな。
それも今日は天気いいみたいだし。
俺はそのまま女の近くまで歩み寄る。
うわ、ちっせーな。コイツ。
見下ろすのにも疲れそうなくらいの身長差。
多分、150ちょいくらいだな。
俺が175くらいだから、20cmくらいの差があるんだろう。
俺は女の目の前まで行くと、その低い身長に合わせるように目の前にしゃがんだ。
そして、ここまで来て一つの疑問が浮かんだ。
コイツ、俺のこと知らないのか?
普通なら騒ぐはずなのに、さっきから一言も発してない。
しかもこんなに近いうえに、目の前に俺がいるんだぜ?
おもしれー、こんなやつ、初めてだな。
そう思いながら、俺は少しだけ笑みを浮かべた。
…まぁ、それはいいとして。
俺、そこ通りたいし。