あたしの前だけ俺様王子☆
俺はその女と目を合わせながら、ポツリと一言。
「・・・お前、ジャマ」
それだけ言った。
今までならこんなこと言わなくても、大抵のやつらは自然に道をあけた。
みんなで固まって、廊下の端から俺に視線を向けていたはず。
だけど、コイツは全然そんなのがない。
俺の言葉を聞いても、全く動かないし、俺を見ても騒がない。
騒がれるのはあんまり好きじゃねぇけど、全く反応がないのも好きじゃねぇ。
・・・なんか、調子狂う。
そんなことを考えてる間も、女は目の前からどけようとはしない。
何の言葉も発さずに、じっとその場に立っている。
つーか初めから俺の言葉、聞こえてたのか??
はじめましてのやつでも、
相手から話しかけられたんだから、何か言うのが普通だろ。
礼儀なってねぇな。
俺はゆっくり立ち上がる。
そして、身長の低い女を見下ろすように見る。
しばらく続いた沈黙に、俺がピリオドを打つように言葉を出した。
「だからさ、ジャマだって。
はやくどいてくんない?」
思い切り偉そうに、
嫌味をたっぷり込めて言い放ってやった。