あたしの前だけ俺様王子☆
…あ、そういえば。
あたしまだ誕生日のこと、
ちゃんと言ってない。
運転手さんからも、優美さんの言葉からも聞いたのに。
わかってたけど、言うの忘れてた…
「ね、ねぇ!」
「ん?」
あたしの隣で立っているアイツが
ゆっくりあたしへと目を向ける。
“誕生日おめでとう”って、
言おうと思ったのに。
「おぉ、蓮くん。大きくなって…」
高そうなスーツを着たおじさんの言葉によって遮られてしまった。
アイツは即座に営業モードの優等生になっている。
さっきまでと全然違うし…
なんだかつまらなく思って、あたしはパーティー会場から出た。