あたしの前だけ俺様王子☆
「はぁー…」
…つまんない。
そりゃ、アイツの誕生日パーティーなんだから忙しいかもしれないけど。
こういうのに始めて来たあたしは
一人じゃわかんないのに。
はぁ、ともう一度ため息をついた。
それとほぼ同時にあたしの前を一人の男性が通り過ぎる。
そのとき、彼のポケットからハンカチのようなものが落ちた。
「あ、あの!」
あたしが咄嗟に拾って彼に声をかけると
彼は驚いたように振り返った。
「これ、落としましたよ」
そう言ってハンカチをたたみ直して渡すと、彼は「どうもすみません」と言って受け取った。