あたしの前だけ俺様王子☆
その瞬間に、高い位置にある彼の顔を見上げる。
あれ?
なんだか、見たことあるような…
そんな不確かな記憶を一生懸命巡る。
わかりそうでわからない。
なんだか、モヤモヤする…
あたしがじーっと見すぎたせいか、彼は不思議そうにあたしを見た。
すると不意にハッとした表情になって、
「もしかして、あいかちゃん?」
と言って満面の笑みを浮かべた。
久しぶりに“あいかちゃん”って呼ばれた。
あたしを“あいかちゃん”って呼ぶのは…
そのとき、さっきまでモヤモヤしていた記憶が蘇ってくる気がした。
昔の、記憶。
最近見た夢まで思い出された。
「ゆうにいちゃん…?」
「うん、久しぶり!あいかちゃん」