あたしの前だけ俺様王子☆
だいたい、なんであんなにみんな騒ぐの?
イケメンなんて、この学校は多いほうじゃん。
今どきこんなに騒ぐほどのイケメンなんていないでしょ。
あたしはため息をつき、机にうつ伏せ状態になった。
絶対、あたしが朝会ったアイツのほうがかっこいい。
性格は最悪だけど、顔だけなら満点以上。
アイツを見てしまったから。
きっとあたしはアイツよりかっこいいとは思わないと思う。
って、なにあたしあんな奴のこと考えてるの…っ!?
一人頭の中で葛藤を繰り返していたあたし。
その頭の中に、今度は足音が聞こえてくる。
教室中が静かになり、その音が鮮明になってきた。
だんだんと大きくなっていく音が、近づいてきていることを表している。
そしてあたしの隣まで来て、足音が止まった。
隣の席、か。
一人って好きだったのにな。
「小野、さん?」
そんなことを考えていたあたしに、急に聞こえてきた声。
柔らかく、優しそうな声。
あたしはその声に顔を上げた。