あたしの前だけ俺様王子☆
「隣の席、嫌だな~」
美紀と一緒に群がる女子たちを見ながら、あたしはボソッと呟いた。
「え、なに言ってるの?
あんなイケメンと隣だなんて、すごい幸せじゃん!」
「そんなことないよ…」
そう言ったあたしの声も、きっと美紀には聞こえていないだろう。
美紀は「蓮くん…」って呟きながら妄想を膨らましているようだ。
予鈴がなり、彼の席の周りにいた女子たちが名残惜しそうに帰って行った。
よし、とガッツポーズをして
一人楽しそうにしてる美紀をおいて、あたしは自分の席へ戻る。
すると彼はゆっくり立ち上がり、どこかへ行ってしまった。
あれ、もう授業始まるのに…
すると“ガラッ”と教室の扉が開く音がして、先生が慌てて入ってきた。
「小野!
ちょっと来てくれ!」
急げと言わんばかりの表情であたしを呼ぶ。
不思議に思いながらも、先生のもとへ行った。