あたしの前だけ俺様王子☆
……なんか、前にもここ来たことある気がするんだけど。
東階段(だと思われるところ)を三階まで上がってきたあたしは、とても見覚えのある場所に来ていた。
とりあえず、先生に言われたとおりに廊下の突き当たりにあると思われる資料室へ向かう。
とても静かで、誰も通りそうにない廊下。
たくさんの机やイス、使わない道具が置いてある教室。
いかにも、先生から教えてもらった場所のイメージと一致する。
それだけでもちょっとうれしくて、心なしか歩くスピードが速くなる。
…あたし、結構単純だなってふと思う。
いつの間にか歩くどころじゃなくて、走り出してた。
“キーンコーンカーンコーン…”
静かな廊下に、授業の始まりを告げるチャイムとあたしの慌ただしく走る足音だけが響き渡る。
あ、授業始まっちゃった…
「まぁ、大丈夫だよね」
先生が授業遅れてもいいって言ったんだし。