あたしの前だけ俺様王子☆
教室に着けばいつもと同じ風景が目につく。
あたしの席の周りには、女子がたくさん。
あたしの席なんて全く見えないし。
「あいか~おはよ~」
「あ、おはよう」
あたしの姿を見つけてすぐに美紀が駆けつけてきた。
でもなんか、今日は雰囲気が違うような…
「…美紀、なんかあった?」
一応、聞いてみる。
すると美紀はパッと目を大きく開いて「そうなのよ~!」って叫んで抱きついてきた。
美紀は大きな瞳をうるうるさせながら、上目遣いであたしを見ながら言った。
「蓮くん…先輩に囲まれてて近づけないよ~」
…え、それだけ?
あたしは頭の上にハテナマークをたくさん浮かべた。
「朝ね、蓮くんが来たから挨拶しようと思ったらね、先輩に押されて近づけなくなったの~」
そう叫びながらあたしに抱きつく力をさらに強める。