あたしの前だけ俺様王子☆
アイツに一番近い距離にいるその人は、片手をアイツの肩の上に置いている。
茶色い長い髪の毛を巻いているその人は、アイツと並んでいても違和感のない、とてもキレイな人。
ふと、今朝のことが頭によぎった。
“蓮くんに近づくな!”
…あの紙を入れたの、きっとあの人だ。
証拠なんてないけど。
なによりあたしへの鋭い視線が、それを物語っている。
彼女はあたしを見たまま口角ををあげて、笑ってみせた。
その笑顔をみて、少しだけ背中がゾッとした気がした。