あたしの前だけ俺様王子☆
「ありがとう、うれしいよ。
でも、ごめん。彼女いるんだ」
すごく優しい声だった。
アイツ、またキャラ作ってる。
あんなに優しくないよ、アイツは。
っていうか、彼女、いるんだ…
女の子はその言葉を聞いて、力なく笑ってみせた。
「ははっ、ですよね。
来てくれてありがとうございました」
それだけ言うと、下を向いて走っていってしまった。
あたしは、切ない気持ちになった。
いくら相手がアイツでも、あの子はすごく好きだったんだよね。
きっと今頃悲しくて泣いてるんだろうな。
少しでもアイツに仕返しをしてやろうと、あたしはアイツの背中に向けて思いっきりベーッと舌を出してやった。