あたしの前だけ俺様王子☆









「ありがとう、うれしいよ。
でも、ごめん。彼女いるんだ」


すごく優しい声だった。
アイツ、またキャラ作ってる。
あんなに優しくないよ、アイツは。



っていうか、彼女、いるんだ…




女の子はその言葉を聞いて、力なく笑ってみせた。

「ははっ、ですよね。
来てくれてありがとうございました」


それだけ言うと、下を向いて走っていってしまった。


あたしは、切ない気持ちになった。

いくら相手がアイツでも、あの子はすごく好きだったんだよね。

きっと今頃悲しくて泣いてるんだろうな。


少しでもアイツに仕返しをしてやろうと、あたしはアイツの背中に向けて思いっきりベーッと舌を出してやった。









< 53 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop