あたしの前だけ俺様王子☆









すると、アイツがゆっくりと振り返った。


あ、ヤバ…っ!
あたしは慌てて近くの教室に入ってドアの陰にかがんだ。

…でも、やっぱり遅くて。




「盗み見なんて、趣味わりー」

教室に入ってきて、あたしの目の前に立って言った。


「ち、違うし!たまたま通りかかっただけで…」

「はいはい、盗み見が趣味なんてヤツ始めてみた」

「ちょ、違うって…っ」


あたしは一生懸命否定する。

うぅ、まさかこのタイミングで見つかっちゃうなんて…
あたしとしたことが、ほんとにバカだ…っ!


「…ま、別に見られても損はねーからいいけど」

そう言ったアイツは、近くの机の上に座った。


「告られるのなんて、珍しくもなんともねーし」


なんだよ、その自意識過剰発言は。
自慢かよ って、ツッコみたくなったけどなんとか抑える。









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