あたしの前だけ俺様王子☆
そ、そんなこと…
「絶対に、ぜーったいにありえないんだからーっ!」
薄暗い廊下に消えていくアイツの背中に向けて、思いっきり叫んだ。
するとアイツはまた片手をひらひらとさせて歩いていった。
なんなの、アイツ。
ほんとにムカつく。
自信、ありすぎでしょ。
あたしは立ち上がり、手元の日誌に改めて気づく。
「あ、ヤバいっ!」
時計を見てみると、いつの間にか7時前。
あたしはまたダッシュで職員室へと向かう。
“…あの子も、どうせ同じだ”
アイツの悲しそうな顔が頭に浮かぶ。
「………」
いつの間にか、急いでいるはずの足が止まっていた。
ほんと、やめてよ。
急にそんな表情するなんて。
いつものアイツじゃないなんて、調子狂うじゃん。
「なんなのよ、ほんと」
そう呟いて、あたしはまた走り出した。
頭の中では、アイツの笑った顔と悲しそうな顔がリピートされていた。