あたしの前だけ俺様王子☆
ちょっとだけ涙目になっている気がする。
掴まれた手は痛いし、彼らの薄気味悪い笑顔は怖い。
周りを少し見渡して助けを求めようとしたけど、みんな忙しなく働いているからあたしに全く気づかない。
自分で、なんとかしなきゃ。
そう思ったとき。
「お客さん。次が控えてますので、お飲み物を飲まれたらすぐに出てもらえますか?」
ふと聞こえた声に、涙が出そうになった。
アイツの、声だ。
アイツはあたしの腕を掴んでいた手を持って引き剥がす。
「さぁ、早く帰ってもらえます?」
ニコニコ黒い笑顔で笑いながら言うアイツ。