キミといたくて ~AYA~

下駄箱で靴を履き替えるときや、信号待ちで青を待つとき、会話がないととても気まずくて。

何か言わなくちゃ、と思ってはいるけれど、何の話をすればいいのかわからない。

このまま家に着くのはイヤ。だけど、自分から話しかけると、朝の真由美を許したことになってしまう。

どうしよう、どうしよう。ただただその言葉だけが、頭の中をグルグル回っている。そんなときだった。

「ねぇ亜矢、昨日のラジオ……聴いた?」

突然、真由美が話しかけてきた。

「え……あ、あぁ……Monsterの?」

「うん。あたし、昨夜は途中までしか聴けてないの」

週に一度、夜中の2時半から始まるMonsterのラジオ番組。真由美は、始まってすぐに寝ちゃって、と残念そうに言う。

「……」

なんか、久しぶりに戻れた気がした。時々、Monsterの話はしていたけれど、そのときはいつも結衣ちゃんも一緒にいたから。
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