キミといたくて ~AYA~

あからさまに、ふたりの会話を邪魔した。MDとは言わず、アレ、と彼女にはわからない言い方で。

「あー、ほんとに? ありがとう!」

「何の話?」

また割り込んできた。

なんでこの子は、ぜんぶを理解しようとするんだろう。

「あぁ、Monsterのラジオ。夜中にあるんだけどさ、この間は寝ちゃったから、MDに録音したやつ借りることになってたの」

「えっ、ラジオがあるなんて知らなかったぁ!」

なんで真由美は、ぜんぶ教えるの?

「……」

早く来るんじゃなかった。イライラする時間が増えただけな気がする。

「いいなぁ。あたしも聴いてみたい!」

ファンじゃないくせに。

「うん、聴いてみて! 面白いよぉ! 明日にはまわせると思うから」

……え?

「いいでしょ? 亜矢」

「……うん」

ダメだ、とは言えない空気。

でも、そのMDは真由美だけに貸すつもりだったのに、なんでこの子にも貸さなきゃいけないの?
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