キミといたくて ~AYA~

校庭のグラウンドに、厳しさを持った笛の音が響いた。

「じゃあ、今からふたり組。パスしながら走って……ここの、ゴール前まできたらシュート。これを40分まで」

今日の体育はハンドボール。先生の言葉で、みんなはパートナーを探し始める。

あたしもすぐさま、今いる場所から離れた。すぐ近くには真由美がいたから。

「手塚さん、一緒に組まない?」

5人グループのひとりに話しかけた。この子も相手を探してるみたいだったから。

「え、でも……」

手塚さんは戸惑いながら、あたしの背後をチラリと見る。

多分、真由美の存在を気にしているのだろう。

「いいのいいの。組もう?」

もう一度、誘った。今度は少し声を張り上げて。

他の子と組むあたしを、真由美に見せつけたいから。
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