キミといたくて ~AYA~

話についていかなくっちゃ。そう思って、あたしもこの間からドラマを見始めたけれど、途中からだとワケがわからない。

この空気になったら、あたしはいつもうなずくだけになる。正直な気持ちを言えば、つまらない。

けれど、輪の中に入るにはこうするしかないんだ。笑顔で、うんうんって聞いてるふり。



今日の5時間目は授業がない。3年全員が体育館にいる。

クラスごとに分かれ、大きな板に手形をつけていく。卒業制作として桜の木を作るんだ。

ピンク色の手のひら。インクをつけたあたしは、列に並んで順番を待つ。

その時、突然、後ろにきたクラスメイトが「ねぇねぇ」と話しかけてきた。
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