キミといたくて ~AYA~

個室から出て、水道で手を洗う。蛇口を閉めながら鏡を見たら、そこに映っていた姿が自分じゃない気がした。

普通の表情をしていたつもりなのに、鏡の中のあたしは今にも泣き出しそうで。

「あたし……ずっとこんな顔してたの?」

初めて、自分を暗いと思った。

「……っ」

イヤだ。こんな自分、見たくない。

逃げ出すようにトイレを去ろうとする。教室に戻ったらめいっぱい元気に振る舞おう、って考えなから。

だけど、出た瞬間、あたしの足はぴたりと止まった。

「……」

出てくるのを待っていたのかもしれない。

トイレ前で待ち伏せるように立っていたのは、結衣ちゃんだった。

彼女は1歩、2歩とあたしに近づいて、こう言った。

「話があるの」
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