[企]*white valentine*
私の心臓の動きなんて知ったことじゃない蓮さんは飄々とした口調で答える。
「彼女いないし甘いもの嫌いだし、もらいたいなって思うけどもらえないんじゃないかなー」
蓮さんの目が艶めいて見えるのは気のせいだろうか。
頭の中では「彼女いないし」の言葉が繰り返しリピートされていた。
「さて、そろそろ帰りますか。菜月ちゃんもこんな夜中じゃ危ないし、送って行くよ~?」
「いいですよ、駅から近いので」
私は本能より理性が勝ってしまうタイプ。
なので嬉しい優しさもあっさり断ってしまった。
蓮さんは何回か「やっぱり送る!」と言ってくれたが頑なに断る私に負けて手を引いた。
「バレンタインのディスプレー楽しみにしてて?」
別れ際、真っ暗な中で照らされた蓮さんの笑顔が家に帰っても離れなかった。