[企]*white valentine*
5:二度目の偶然
その日以降もやっぱり蓮さんは現れなくて、結局感想が言えないままバレンタインの日になった。
夕方になった店内はいつもよりカップルが多い。
女の子一人のお客さんは携帯電話を確認しては外を見て、愛しい誰かを待っている様子。
「皆、バレンタインって盛り上がるんだね」
平日で仕事を終えて来ている人もいるだろうけれど、一切慌ただしさを感じさせないお客さんの顔。
そして皆、どこか嬉しそう。
「この中に気持ちを伝える人もいるのかなー……」
隣にいるチサにボソリと呟くと、チサは言葉に詰まり咳払いをした。
「……どうしたの、チサ?」
「あの……私も、気持ち伝えようとしてるうちの一人なんだけど……」
「……へ?」
「こ、この前の合コンで知り合った……」
年明け、私がレジ締め任されたときに行った合コン!?