[企]*white valentine*


手に持っていた箱を取り上げられ、代わりに置かれたのは……


「……同じ箱?」

「違うよー。今度はちゃんと中身アリ!おいしいからね?」


蓮さんは私の手から取った空の箱を台に戻すと、改めて私に向き直った。


「ホント、いつもおいしいコーヒーと温かい空間をありがとう」

「……とんでもないです」


そんな感謝をされるほど私は何もしていない。

コーヒーを入れるのは別の人だし、あそこに喫茶店を構えたのは店長だし。

謙遜して俯きながら首を振っていると、蓮さんのクスリと笑う吐息を感じた。


「なんて……ホントに渡したいのは別のモノなんだけどね」

「……まだあるんですか?」


逆チョコ以外にまだ何かあるの?

< 52 / 56 >

この作品をシェア

pagetop