[企]*white valentine*
手に持っていた箱を取り上げられ、代わりに置かれたのは……
「……同じ箱?」
「違うよー。今度はちゃんと中身アリ!おいしいからね?」
蓮さんは私の手から取った空の箱を台に戻すと、改めて私に向き直った。
「ホント、いつもおいしいコーヒーと温かい空間をありがとう」
「……とんでもないです」
そんな感謝をされるほど私は何もしていない。
コーヒーを入れるのは別の人だし、あそこに喫茶店を構えたのは店長だし。
謙遜して俯きながら首を振っていると、蓮さんのクスリと笑う吐息を感じた。
「なんて……ホントに渡したいのは別のモノなんだけどね」
「……まだあるんですか?」
逆チョコ以外にまだ何かあるの?