[企]*white valentine*
世の中には笑って許される人と、笑うともっと怒られる人がいると思うけど、スノーマンは明らかに前者。
要するに得な性格をしている。
「これね、発泡スチロールの粒なの。洋服のブラシとかガムテですぐ取れるよ」
「発砲スチロール……」
手で取ろうとしても洋服にくっついている粒は静電気によってなかなか取れない。
こんなもの使って、何してるんだろ。
気になったが、仕事中だし、ただのお客さんにそこまで深入りする必要もないと思い、言わないでいると、スノーマンは寝不足の理由を話した時のように一人勝手に話し始めた。
「俺、デパートのディスプレーをやってんの。大通りにあるでしょ?あそこ!
今、丁度クリスマスの飾り付けしてて雪降ってる感じでね、たぶん子どもが見たら立ち止まるだろうなぁって!
そういうの考えてたら手が止まんなくて……」
スノーマンの説明はまだまだ続きそう。
デパートのディスプレーなんて面白そうな仕事をしてる……。
ちょっとだけ聞いていたかったけど、注文も受け取ったことだし下がらなければいけない。
そう思っていると、スノーマンは隣のお客さんにまで話しかけだしたので、私は適当なところで気配を消した。