猫相談室
 昼下がり、神社へ続く林の小道を小さな足音が近づいて来た。
(参拝客か?キツネさんどうする)
(いま忙しいからパス)
(何してるの?何が忙しいの?)
(ヒミツ)
 小さな足音の主はチョコレート色のコートを着た少女だった。
「あっ猫ちゃん」
 少女は猫に気づきうれしそうに声をあげた。
(親戚か?)
(俺に人間の親戚はおらん。第一、親戚という概念を猫は持ち合わせてない)
「猫ちゃーん」
 少女は猫の予定もお構い無しに猫のあごをなでた。
(これでは日向ぼっこもできん。かといってあごなでも捨てがたい)
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