私と彼女とあの夜に
当時4歳だった加奈は親に連れられて田舎から都会へきていた。
手を引かれ、案内されたのは知らない大きな家。
白くて大きすぎるその屋敷を見た加奈は呟いた。
まるでお城みたいだ、と。
その言葉を聞いた母親は胡散臭そうな表情を浮かべて優しく笑った。
今日からここに加奈は住むのよ?よかったわね?
その口調に違和感を覚えた加奈は不安を隠しきれずに心配そうな表情をうかべた。
それに気付き、父親はこう言った。
お前は幸せなんだぞ?こんな綺麗な屋敷に暮らせるんだからな。何も心配はいらないんだ。
それを耳にした加奈は無邪気に笑った。
今日から加奈たち、ここに住むんだ!やったぁ!
と、はしゃぐ小さな小さな加奈をみて気の毒そうな顔をする父親。
加奈に哀れみの目をむける母親。
そんな二人に気付かずに楽しそうに飛び跳ねる加奈。