私と彼女とあの夜に
あの子のことは忘れよう、と父親。
そうね。何だか子供を売ったみたいで気分が悪いわ、と母親。
そして父親は加奈をもう一度見つめてからこういった。
幸い家にはまだ妹と弟が二人いるからな。
その言葉と同時に車は出されて、その場所に木葉だけが残された。
冷たい風が柔らかな肌にあたる。
蹲って泣き続けた加奈は一人ぼっち。
親に捨てられた、そう自覚することもできずにただただ泣き続けた。
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