私と彼女とあの夜に
それから時間がたち、ようやく泣きやんだ加奈は屋敷の中へと足をはこばせた。
はじめて入ることもあり、不安を胸に抱え、ドアを開ける。
すると、たくさんの人がいて少しだけほっとした。
加奈は誰かに声をかけようとオロオロしていた。
そんなとき、誰かとぶつかり、転びそうになった。
あら、ごめんなさい。
透きとおるような綺麗な声。
その声に思わず木葉は振り返った。
そこにいたのは加奈と同じ年くらいの可愛らしいドレスをきた少女だった。
二人の目があったこの瞬間。
それが、物語のはじまりだった。
残酷で、本当に冷酷な物語……―――――
それに彼女たちはまだ気づいていない。
そう、物語は今幕をあげたばかり。
ハッピーエンドなんてない、本物の恐怖を味わうのは誰……?