オフィスの甘い罠
1―出会いのNight
     ☆☆☆☆☆



「香川さーんっ、Aルームに
コーヒー3つ至急、よろしく!」



お局のオバサン社員に
大声でがなられて、
あたしは無言で席を立つ。



「ったく……それくらい
あんたがいれろっての」



誰にも聞こえない小声で
ボソッと呟いて、給湯室に
歩き出すあたし。



そんなあたしの外見は――


紺がベースの制服に
あわせた、規定の型の
白いブラウス。


肌色に近いベージュの
パンスト。ストレートの
ロングヘアは後ろで一つに
まとめ、黒いゴムでくくってる。


派手さのカケラもない
最低限のメイクに、細い
茶色のフレームのメガネ。



――まぁようするに、
完璧な地味子。




今年で勤続2年目に入る
あたしは、可もなければ
不可もない、いたって
地味なOLってわけだ。
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