オフィスの甘い罠
「……ホント……サイテー……」



閉ざされたドアの前で
ポツリとつぶやいて。



カタチの見えない感情に
戸惑いながら、あたしは
トボトボとその場を離れた。






――そうして、次の日。




結局あたしは、いつもの
時間に会社に来てた。



一晩中、散々悩んだ。



だけどやっぱり、何が
起こってるのかもわかん
ないまま家でジッとしてる
なんてできなくて。



(やっぱアイツから話
聞かなきゃ気が済まない。

いいわよ――こうなったら
とことんぶつかってやるわ)



たとえ柊弥の思うツボに
はまってるとしたって、
あたしはあたしの気の済む
ようにやる。


そう、決めたんだ。




更衣室で制服に着替える
と、あたしはそのまま
副社長室に直行する。



きっと柊弥は、そこで待ってる。


そんな確信があった。
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