オフィスの甘い罠
「何が上司よ!

バカなこと言ってないで、
サッサと説明しなさいよ!」



さらに声を荒らげると、
柊弥は『まぁまぁ』と
大ゲサにあたしをなだめる
動作をして、



「別にそんなとんでもない
ことはしてないぜ。

お前を、副社長専属の
秘書にヘッドハンティング
しただけだ」



「秘―――…」



あまりの驚きに、声も
思考も一瞬止まる。



―――ナニ? どういうこと?



秘書って……
ヘッドハンティングって……?



考えのまとまらない頭に、
割り込むように柊弥の声が
降ってきた。



「今日付で、お前は総務部
から異動だ。

雇用形態も、派遣じゃ
なくてうちの正社員になる。

派遣会社とは昨日のうちに
話をつけてある」
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