オフィスの甘い罠
「とりあえず最初は、
この部屋の電話番と
オレのスケジュール管理を
こなしてくれ。

慣れてきたら徐々に仕事は
増やしてくさ」



そう言うと柊弥は立ち
上がり、こっちに歩み
寄ってきた。



距離が近くなったところで
いきなりヒョイと何かを
投げてくる。



反射的に受け取ると、
A5サイズのぶ厚い
スケジュール帳だった。


新品じゃなくて、普通に
使い込んでる感がある。



「―――アンタの?」



「そっ。お前に渡しとく」



「何もわざわざ自分の
渡してくれなくても
いーけど……」



スケジュール帳を机の上に
置いてブツブツ言ってたら
……急に目の前がフッと
暗くなった。



顔を上げると、真ん前に
柊弥が立ってあたしを
見下ろしてる。



「………な、何よ?」
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