オフィスの甘い罠
「……ああ。
イヤ、別にかまわないぜ。

わかった、準備してすぐ出るよ」



いくつか言葉を交わした後
最後にそう言って電話を
切った柊弥は、



「オイ、出かけるぞ。急用だ」



「えっ、あたしも!?」



「当たり前だろが

だから秘書だろ、お前は」



「でも、さっき電話番って
言ってたじゃない」



「それはオレがここで仕事
してる時はの話だよ。

外出には基本同行!

ホラ、とっとと用意しろ」



ピシャリとそう言って、
柊弥はもう入口のドア
ノブに手をかけてる。



「ちょっと待ってよ、
用意たって何持ってけば
いいのか……」



「お前の貴重品と、後は
そのアタッシュケース持っとけ」



柊弥は自分のデスクの上に
置いてあるそれを指差して
指示すると、サッサと
ドアを開けて外に出た。
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