オフィスの甘い罠
しかもつけてる腕章
見たら、けっこう有名な
外資系企業の社名なんかも
チラホラあって――…。



(知らなかった。

恵比寿店ってけっこう
すごいスポンサーついて
たんだ……)



ア然とするあたしの
手前で、柊弥を見た専務が
期待に顔を輝かせてた。



「どうも、わざわざ
すいません副社長っ!

こんな所にお呼びだてして
しまって――」



「別にかまわないさ。
使える足を惜しむ気はないから。

それで、どういうことなんだ?」



柊弥は自分の父親くらいの
年齢の専務にも、威厳を
漂わせるほど堂々とした
口調でそう尋ねる。



専務は恐縮したように
『はいっ』と返事してから、



「それが――1社、プレ
ゼンで聞いたビジョンと
店舗の仕上がりが、全く
違うと不満をおっしゃって
いる企業がありまして。

説明しても納得して頂け
ないんです……」
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