オフィスの甘い罠
呆れ声でツッコミを挟んだ
柊弥は、続けて右手の
親指で出入口のドアを
クイッと示して、



「郁実(いくみ)が
待ちくたびれてるぜ。

こんな所にずっと
いさせちゃかわいそうだろ。
いいからとっとと戻れよ、
今日は」



(郁実…………?)



なんのことかと思って、
ついあたしも柊弥が示す
ドアの辺りに顔を向けた。



すると、そこにスーツ姿の
人影が2つ立ってるのが
目に飛び込んでくる。



一人は見覚えがある。



あれは社長の秘書をしてる
男の人だ。

たしか名前は……そう、三浦。



だけどもう一人は――…。



(え……てか、子供?)



よくよく見ると三浦さん
じゃないもう一方は、
スーツ姿の男とはいえ
まだ相当幼かった。



背は高いけど、顔立ち
なんかは中学生くらいに
しか見えない。
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