オフィスの甘い罠
「梓。

さっきみたいに、オレの
名前を呼べよ」



「え!?」



耳たぶをくすぐる声に
いろんなイミで身をすくめる。



だけど耳にはさらに熱い
キスが埋められ、



「さっき呼んだだろ。

今夜はずっと、そう呼べ」



――あぁ……そういえば
たしかにさっき、柊弥の
名前を口にしてしまった。



それはしっかりと柊弥の
耳にも届いてたんだ。



「ホラ、梓。

オレが今夜を、忘れられ
ない夜にしてやるから――」



再び襲う、あたしを飲み
込むほどのキス。



もうあたしは、自分の足で
立ってることすら危うい。



「柊――弥――……」



柊弥の腕に身を預けて。



ボンヤリかすむ意識の中で、

あたしは何度も

その名前を呼んでいた……。





     ☆☆☆☆☆



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