オフィスの甘い罠
あたしの発言に、社長は
嬉しさと不安の混じった顔で、



「本当? 
それならいいんだけど。

それじゃあ柊弥は、楽しく
仕事できてるのかしら」



「楽しい、ですか――」



またまたおかしなことを
聞くなぁ。


別に仕事なんて楽しくても
楽しくなくても、しないと
いけないことなんじゃないの?



そんなことを思いつつも、
あたしは日々の柊弥の顔を
思い出して、



「楽しい……んじゃない
でしょうか。

聞いた事はないですけど、
何にでもすごく意欲的に
接してらっしゃいますから」



そう話すと、社長はやっと
心底安心したように大きな
息をついた。



「あぁ、そう。

秘書のあなたがそう思うの
なら、きっとそうなのね。

よかった、安心したわ!

どうもありがとう」



「いえ―――…」
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