オフィスの甘い罠
だけどあたしがそんな
事情まで知ってるとは
思ってない社長は、
あたしの態度には気づかずに、
「本当にごめんなさいね。
いくつになっても、親に
とっては子供は子供だから。
だけど柊弥に聞くと、
いつまでも子供扱いするな
って怒られちゃうでしょ。
だから、香川さんから
こっそり聞いたってわけ」
そう言うと、少女みたいに
ペロリと舌を出して笑う。
おどけたいたずらっ子
みたいだけど――でも
その表情はたしかに、
『母親』のものだった。
「――愛してらっしゃるん
ですね。
柊……副社長のこと」
気づくと、そんなセリフが
口をついて出てた。
“愛してる”なんてガラ
にもない言葉に、言って
から自分でちょっと驚いて
しまう。
事情まで知ってるとは
思ってない社長は、
あたしの態度には気づかずに、
「本当にごめんなさいね。
いくつになっても、親に
とっては子供は子供だから。
だけど柊弥に聞くと、
いつまでも子供扱いするな
って怒られちゃうでしょ。
だから、香川さんから
こっそり聞いたってわけ」
そう言うと、少女みたいに
ペロリと舌を出して笑う。
おどけたいたずらっ子
みたいだけど――でも
その表情はたしかに、
『母親』のものだった。
「――愛してらっしゃるん
ですね。
柊……副社長のこと」
気づくと、そんなセリフが
口をついて出てた。
“愛してる”なんてガラ
にもない言葉に、言って
から自分でちょっと驚いて
しまう。