オフィスの甘い罠
社長も少しだけ驚いた顔を
したけど、すぐにふわりと
微笑んで、



「それは、もちろん。

だって大切な息子ですもの。

柊弥も郁実も、比べようが
ないくらいどっちも愛してるわ」



「そう……ですよね……」



まぶしい笑顔だな、って思った。




そっか……なんとなく、
わかった気がする。



母親と離れても、柊弥が
施設でちゃんと待ってて
られた理由(ワケ)。



それに、辛い過去を
しょってても、今、柊弥が
あんなに前向きで堂々と
してる理由。




あたしとは根本的に違うところ。




(柊弥は、愛されてる。

昔も今も――…)



生活が苦しくても寂しく
ても、心に残る愛されてる
って記憶が、柊弥を支え
たんだろう。



だから柊弥は待ち続けて、
お母さんと再会して……


そして今、こうして一緒に
生活をしてる。
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