オフィスの甘い罠
9―心をうめるもの -include 柊弥side-
     ☆☆☆☆☆



ドアノブに手をかけてまだ
そのドアに鍵がかかって
いると気づいた時、柊弥は
不思議な予感が走るのを
感じていた。



事あるごとに文句を言い
ながらも、それがプライド
なのか与えられた仕事は
きっちりこなす女だった。



秘書たる者上司より先に
出勤しているのが当然と
あって、この部屋から
1日が始まる時は、必ず
自分より先に来ていたのに――。



自分で鍵を開けて中に
入り、柊弥はまず梓の席を見る。



……特に変わったことは
何もない。



とはいえ机上は毎日綺麗に
片付けて帰るヤツだから、
変化も何もありはしないのだが。




柊弥はすぐに視線を移して
自分のデスクに向かった。



そして――見つけた。



机の上にまっすぐ
置かれた、一通の封筒を。
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