オフィスの甘い罠
「返しとくぜ。

色々あったが、今日から
また現場復帰だ。

文句は――ないよな?」



「あ…………」



文句なんてない。



でも――ホントにいいのかな?



ホントに、あたしがまた
秘書に戻って――。



「いいの? あたしで」



張り詰めた声で尋ねると、
柊弥はまるで面白い冗談
でも聞いたみたいに
ハハッと笑い出す。



「今さら何言ってんだよ。

お前以外に誰がいる。

……あぁそうだ、これも
渡しとくぜ」



今度はサイドボードから
取って渡されたそれは、
柊弥のスケジュール帳だった。



「また、お前が書いてくれ。

持ってんだろ、ペンは」



「……………!」




……柊弥にはお見通しなんだね。



そうだよ、たしかに持ってる。
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