オフィスの甘い罠
この手帳から抜き取った
日から、1日も手放す
ことができなくて――
毎日、持ち歩いてたよ。



あたしもサイドボードに
置いたバッグに手を伸ばした。



すぐに自分のスケジュール
帳にさしたあの万年筆を
見つけ、そっと取り出す。



銀色のボディが朝日を
反射してキラリと光った。



あたしはそれをかすかに
笑みを浮かべて見つめ……

そして、ゆっくりと柊弥の
手帳のペンホルダーにおさめた。



「ようやくあるべき所に
帰ってきたな」



嬉しそうに笑う柊弥の
笑顔が眩しくて、あたしは
目を細めて頷いた――。






       ☆END☆




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