オフィスの甘い罠
すると柊弥は大ゲサに
驚いた顔をして、



「何言ってんだよ。

総務部勤続2年、香川梓。

派遣社員なのにかなり
優秀な、部のホープらしい
じゃないか」



「………! そんなこと
まで調べたの――!?」



「調べた? 別にそんなの
ちょっと聞けばわかることだろ」



悪びれたふうもなく答える
けど、人に聞いて確認した
ことにはかわりない。



やっぱりサイテーだ。

こんなヤツ――…!!



「マジメな派遣社員が実は
キャバクラでバイトして
ますって、バラしたければ
バラせば。

どーせすぐに辞めてやる
からかまわないわよ」



吐き捨てるように言って、
今度こそ本当に出口に
向かって歩き出す。



でも――その手を、柊弥の
大きな掌がガッシリとつかんだ。
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