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「お邪魔します。」

家に上がり靴を揃えて右端に寄せた。

私の横を風が横切った。

「パパ!ただいま!!」

「お帰り風、お友達も一緒か?」

風が乱雑に脱ぎ捨てた靴も揃えると顔を上げた。

「速水鼎と言います、どうもよろしくお願いします。」

「いえ、こちらこそ娘が。」

風の父親らしき人物は丁寧に頭を下げた。

見た目は中年より少し若いおじさん、といったところだろうか。

風と同じ金色の髪は男の人のものだとは思えないほど美しかった。

「紹介するね、これが私のパパ、風見・クロフォードっていう名前なの。」

名前からしておそらく婿養子にでも入ったのだろう。

それより重要なのは彼の格好だ。

明らかに家事などしなさそうな感じの人なのにエプロンをしている。

最近の男は家事もこなせないと駄目なのだろうか。

「どうしたんだ?俺の顔に何か付いてる?」

「パパ、鼻のところ。」

風が指摘した。

確かに顔の真ん中に明らかに飛び散ったとみられる生クリームが付いていた。

「おっと、これは失礼。」

クロフォードは鼻についていた生クリームをハンカチでふき取った。

「じゃあ、少しの間風の部屋で遊んでてくれ、もうすぐケーキが焼けるんだ。」

「パパの焼いたケーキはとっても美味しいんだよ!鼎ちゃんも食べていってよ!」

断るのも不自然なので話のタネに食べてみることにした。

「分かりました、頂きます。」

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