大好きな君にエールを*番外編
俺は意を決して、口を開いた。
「俺…………彼女いんだよ」
初めて言った、この言葉。
永松とシゲさん以外には言ったことがなかったんだ。
「嘘?この学校?」
「本当だよ。ココじゃない地元の奴」
目をパチパチさせて俺を見るボブの女。それもそうだ。野球部は知ってる奴もいるだろうけど、他には言ったことが無かったんだから。
「そう、だったんだ……」
しぶしぶ、俺の手からチョコを取る女。
「悪い」
「ううん。彼女と……頑張ってね」
たたたっと駆けていくボブの女だった。はぁ、これを今日はあと何回しなくちゃいけねーんだろ。
「荒嶋くん!」
ため息をついていると、さっきの女に呼ばれた。
「あたし、口軽いからね♪」
そう言って、俺の方を見ずに走っていった。
ん?どういうことだ?
「永松、あれ、どういう意味?」
「さぁ。直にわかるだろ」
チョコを袋に詰め終えた永松は、プレゼントを抱えた一足遅いサンタクロースのようだった。
直に……ねぇ?