大好きな君にエールを*番外編





「お疲れ、主役」


永松が一声掛けてきた。その言葉にも反論出来ない俺。


「主役は昼飯も食う暇もないな」


「え?」


「呼び出し」


永松が指さすドアの方には、少しどぎまぎしながら俺のことを見る女子。行かないわけにもいかず、席を立ち上がった。


廊下に出てすぐ、女子は口を開いた。


「彼女、いるんですよね?」


「あぁ」


「チョコは……受け取って貰えないんですよね?」


「悪い。受け取れない」


冷たい言い方かもしれない。だけど、曖昧にするわけにもいかない。


「わかりました」


そう言って、切なく笑う女子。その表情を見ると、何とも言えない。


「荒嶋先輩のファン、きっと悲しんでいますね」


「え?」


「永松先輩と同じ、フリーだと思っていたんですから」


そう、だよな。


「でも、違うんですよね、お二人は」


意味深な言葉を発した女子。俺は耳を傾けずにはいられなかった。





< 123 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop