大好きな君にエールを*番外編
「お疲れ、主役」
永松が一声掛けてきた。その言葉にも反論出来ない俺。
「主役は昼飯も食う暇もないな」
「え?」
「呼び出し」
永松が指さすドアの方には、少しどぎまぎしながら俺のことを見る女子。行かないわけにもいかず、席を立ち上がった。
廊下に出てすぐ、女子は口を開いた。
「彼女、いるんですよね?」
「あぁ」
「チョコは……受け取って貰えないんですよね?」
「悪い。受け取れない」
冷たい言い方かもしれない。だけど、曖昧にするわけにもいかない。
「わかりました」
そう言って、切なく笑う女子。その表情を見ると、何とも言えない。
「荒嶋先輩のファン、きっと悲しんでいますね」
「え?」
「永松先輩と同じ、フリーだと思っていたんですから」
そう、だよな。
「でも、違うんですよね、お二人は」
意味深な言葉を発した女子。俺は耳を傾けずにはいられなかった。