大好きな君にエールを*番外編





すると、いつもは絶対に俺と同じ事をしない永松が、


「…………俺も」


そう言って、大の字になって芝生に背を預けた。


「どうしたんだよ、永松ー」


「空を見たくなった」


「あぁー?空?」


「そう、空」


空は、雲一つない快晴だった。あの夏を思い出す。汗と熱と……体中が燃え上がったあの夏を。


「もう花龍野球部じゃなくなるんだな」


「あぁ」


「……楽しかったよな、3年間」


「……おう」


入部して先輩の背中を追いながら、必死にもがいてきた。そしてこれからだ!と思ったら、もう目の前には自分たちの卒業があった。


高校は、時間が足りない。もっと、もっとって思ってしまうくらい、眩しい中にいるんだから。





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