大好きな君にエールを*番外編
「っぶね」
でも、そんなボールでも永松には無敵のようで、ナイスキャッチしやがった。
「……感情入り過ぎな」
「これくらい熱いんだよ!」
「俺に言われても困る」
今年のバレンタインは、去年よりチョコを渡されたり、呼び出しが多かった。……まぁ、この最強男には負けるけど。
でも、欲しい奴からはまだ貰えていない。だから、帰ったら絶対にチョコねだってやる。
「行くぞ、荒嶋」
だからそれまでは、コイツとの時間を楽しもうと思う。ずっとライバルだった、コイツのボールを受けられる限り受けていたいと思う。
最高のバッテリーを築いた、コイツの。
バンッ!
体よ、覚えておけ。コイツ以上のピッチャー、ううん、ライバルには出会えないと。
少しだけ、景色が滲んだのは気のせい。永松が顔を隠すように顔を拭っているのも……多分気のせい。
永松、ありがとう。
バレンタインは切なかった。恋だけじゃなく、ライバルと最後の投げ合いもして、切なかった。