大好きな君にエールを*番外編
───────放課後。
帰りの早い3年だけど、今日は教室に残っている人が多かった。バレンタインといえば、告白もあるもんね。
「お待たせ!」
絢子は先に正門に来ていた。
「ねぇ、絢子は好きな人いないの?」
「何よ、イキナリ」
「今日はこの話題もしたくなっちゃうでしょ?」
女の子は今日に限らず、ずっと興味のある話なんだけどね。
「いない」
「いるでしょ」
「……いない」
「いる!誰だれー?」
「教えないわよ」
ちぇっ。教えてもらえるかもって思ったのに。
「麻帆はどうなの?」
「え?」
「遠距離の奴とうまくいってんの?」
絢子と恋バナは初めてだ。だけど、どこからか聞いていたのかな、あたしのこと。
「夏に復活したよ!」
高3になって、荒ちゃんと距離を置いていた時期があった。だけど、甲子園で荒ちゃんの姿を見て、我慢できなくなって、別れたくないって伝えた。
「へぇ、そうなの」
「心配してくれたの?」
「別に」