大好きな君にエールを*番外編
父さんが下唇を噛みしめながら、ゆっくりと俺の顔を見た。母さんは……さっきより涙を流す。
何だよ、甲子園出場を決めたことがそんなに嬉しいのかよ。
「あのな」
だけど、そういう雰囲気ではなさそうだと一瞬にして分かった俺は、
「お前は」
「待って!」
その先を聞きたくなくて、父さんの言葉を遮った。
「父さん待って……話って俺が喜ぶこと?」
「え………その……」
「もしかして、野球に関すること?」
「……あぁ」
嫌な予感がした。
でも、今までの自分のことを考えてみたら、嫌でも何となく分かるような気がした。
「お前は、甲子園に出場出来ない」
頭の中が、真っ白になった。