大好きな君にエールを*番外編
少し、意地を張ってしまったけど、こうしなきゃコイツらは笑ってくれないから。
それから荒嶋と永松が帰ってきて、脇腹に軽くパンチを入れてやった。
「お前ら、練習真面目にやってんのか?体力有り余ってんじゃ?」
「い、一生懸命してきました!」
ビクビクしながら俺に返す荒嶋。ぶっ、その顔ウケるんだけど!
「キャッチャー託すんだから、しっかりしろよ。他の奴にぶっとられんなよ?」
「はい!」
「永松、お前もな。安高がピッチャー狙ってんだから気をつけろよ?」
「はい!」
コイツら、返事だけはいいな。気分が良くなった俺は2人の頭をグリグリしてやった。
……コイツらと、野球してぇな。
ケリをつけても、やっぱり心残りはある。キラキラ輝くコイツらの成長を見ていたいって思う。
「ほーら!1年も下で筋トレしてんだろ?お前らも参戦しねーと追い抜かれるぞ!」
俺の弱いところを見られたくなくて、遠回しに病室を出るように言った。
キャプテンの指示で2年は強制、3年は後から参戦することになった。ったく、1人にしろよな。
「1人になんかさせねーぞ」
ナオがポツリと呟いた。うわ、読まれてた?
「シゲ、俺たち絶対勝つからな」
キャプテンが重い口調で放つ。この言葉は、甲子園で、という意味がこもっているんだ。